
色々な企業で様々なデザインに関わっていると、避けるべきモチーフが沢山あることに気付かされます。
今回は私が長年デザイン仕事をしていて「これは避けるべき」と感じたものをいくつかご紹介致します。
これらは歴史・風潮・政治で価値が流動的に変わりますので、現時点(2019)での感覚ですが、流行で変化しにくいものをまとめました。
(モチーフとは:美術用語的に「動機」の事ですが、主にマーク、モノ、表す物などの意味で使用しています/例:お花のモチーフ→お花のマーク、描かれたお花、お花の造形物)
実際会社勤めの時に注意されてしまったモチーフです。
原宿系のデザインでは頻繁に見る六芒星ですが、実はとてもセンシティブで注意が必要になるモチーフです。
(少年ジャンプなどでも極力避けているそうです、漫画時にはあったのにアニメ化したら無くなったり)
ググると都市伝説的な噂がヒットしたりしますが、これにはちゃんとした理由があります。
それは「六芒星はユダヤ教でとても大切にされたモチーフ」 だと言うことです。
日本人はユダヤ教にピンと来ない方が多いですが、海外では珍しくありません。
フォローしているインスタグラマーなどに絶対にいらっしゃるかと思います。
様々な理由から六芒星はアニメやゲームなどで悪魔の象徴的に描かれる事が多く、その事実は彼らにとってとても侮辱的で悲しい歴史でもあります。
例えばアベンジャーズの敵側の全員に鳥居のマークが入っていたら悲しいですよね。彼らにとってはそれはもっと重要なマークなので悲しみはきっと比では無いと思います。
なので彼らは良い風でも悪い風でも六芒星がファッションやイラストに意味もなく使われている事に敏感です。
過去に「幸運のモチーフ」としてデザインした事があるのですが「大事な象徴なので使わないで欲しかった」とユダヤ教の女性から指摘されてしまった事があり、とても反省した事があります。
六芒星のミステリアスでかわいい形が好きなので「良いモチーフ」として扱ったのですが、そもそも他文化の方に安易に触れられたくない、といった感じでした。
特にインスタグラムなど国際的な方々の目が触れやすいSNSに画像をアップしたい場合は避けた方がいいかも。
ただの星のシルエットにするなどしてデザインは問題ない(と言われている)様なので、ご参考に。
これもユダヤ教繋がりなのですが、十字軍(特にテンプル騎士団)のイメージ、軍服なども歴史的にネガティブでセンシティブな問題なので使用しないべきです。
青地に黄色い十字の入ったテンプル騎士団を連想する(実際は白地に赤十字)軍服はゲームのドラゴンクエストに出てくる服なのですが、同様の理由から十字のデザインは変更されているそうです。
ナチス軍の鉤十字も同様です。
zaraで販売された子供服がナチス収容所(ホロコースト)の囚人服(ボーダーの胸元に星)を想起させるとして批判を浴びたのは結構最近(2014)の話。
いい記事見つからなかったのですが参考までにリンク↓
https://www.japanjournals.com/uk-today/4742-828-2.html
どんな理由であれ、絶対に使用しない方が良いモチーフの一つです。
実はこれは気をつけるべきモチーフです。
何故かと言うと、世界には領土問題があるので、例えば世界地図をイラストで描くとき小さな島を省略したり、島の位置を日本に寄せて描いたり、大きさを変えたりするだけで国際的な問題に発展してしまう事があるためです。
もういっそファンタジーな地球儀を描いた方が良いかと思います。(さじ加減が難しいですが)
ディズニーさんでもアニメの中に地球儀や、実は星座も敢えて正確なものは描かない様にしていると聞いた事があります。
戦時中の日本を連想させる(他にも沢山の理由がある)のでどんな理由があれ使わない方が良いです。
「富士山の向こうから太陽が光っている」という表現が日章旗的と判断された例もあります。
大正浪漫的な個人制作物でも正直避けた方が良いです。
タータンチェックは実は日本の「家紋」の様に、イギリスでは「家の伝統の模様」だったりします。
特にバーバリー社の「バーバリーチェック」は商標の取られたバーバリー社の「顔」。
ディズニーのミッキーと同じです。
生地屋さんから聞いたのですが、一時期日本のブランドがバーバリーチェックを意図せず真似しまくったので、バーバリーさんが一斉に注意勧告(告訴までしたかは不明)したそうです。
デザインの中にチェック模様を入れたい時は1から作るのがおすすめです。
歴史的なタータンチェックを全部調べて避けるのは現実的では無いので、とりあえずバーバリーチェック(ベージュに黒、赤、白の線、もちろん線の間隔も)は避けましょう。
大手企業もしがちなこの表現、要注意です。
(デザイン、というよりフレーズ、説明文において)
いわゆる「パーソナルカラー」に配慮したデザインというのを表現したいのでしょうが、アジア系では無い日本人の方も沢山居ますし、肌の色はデザインの歴史的に最もセンシティブな問題。
バリエーションのある商品でしたら「あなたの肌に似合う色が見つかる」としたり(時と場合によるので一概には言い切れませんが)そもそもパーソナルカラーを意識した商品を1色に限定するのがそもそも間違いの元。
昨今、「肌の色」というフレーズを使わない方が正直無難です。
大まかな説明でしたが、重要と感じるモチーフまとめでした。
もちろん、意味と掛け合わせて使用する事もできますし一概には言えませんのでご参考程度に考えていただければと思います。
(例えば人種差別反対のポスターにあえて折れた鉤十字を使う、なんて事もあるので)
突然の真面目な記事ごめんなさい。
また次回