こんにちは
私は度々、個人製作イラストを「悪夢」を題材に描く事があります。
それは実際の悪夢もありますが、(幼少期は98%くらいの確率で毎夜悪夢を見てました)映画やホラーゲーム、そして現代のアーティストからインスピレーションを貰う事も。
その中の1人を今回紹介致します。
壁から生えた男性の脚、デュシャンの泉(便器の彫刻)を彷彿とさせる、白い「流し/洗面台」と融合する少年の脚、マリア様に突き刺さる巨大なパイプ。
陰鬱で凄惨にも見える作品ですが、見る人を惹きつける様な格好良さがあるのも事実です。
鬱々とした、都会の悪夢の様な世界観ですが、ともかくかっこいい。
ナウい言葉を使うとエモい、という感じでしょうか?
今回はまるで悪夢のワンシーンのような作品を作るロバートゴーバーについて書いていきます。
ちょっと怖い雰囲気の彫刻作品なので、寝る前は見ないほうがいいかも・・・?
リンク
Robert Gober|ロバート・ゴーバー 作品画像
https://matome.naver.jp/odai/2136185542613346701?&page=1
まず彼の作品を紹介するにあたり、彼がゲイだという事を避けては説明できません。
今より風当たりの強かった80年代のアメリカでの作家生活は、宗教観や日用品に到るまで、プライベートからの連想ゲームのような作品たちに仄暗い影を落としています。
どちらかというと「被害者」のように見える彫刻の男性(そして少年)。
繰り返し製作された「洗面台」には「清潔にする/洗浄する」意味合いと「完全に純粋ではいられない」(人間は汚れるから洗う/洗面台が存在する)事の両方を表しているそうです。
お腹に大きなパイプが通ったマリア像は「キリストの通り道」の様な無機質な扱いを、私に連想させてきます。
くっつく筈のないものが融合した作品はやはりどこかセクシャルな印象。
どことなく汚く(髪の毛を入れ込んだ彫刻もあります)でも完全に清潔に、そして丁寧に作られた彫刻作品は鑑賞者に強烈な「痛み」を強く感じさせます。
ほとんど白と黒(たまにグリーン)で構成されたとても閉鎖的で私的な作品達作るロバートゴーバーは、私が度々思い返してしまう芸術家の1人です。
明るくて可愛いものが好きなのと同時に、仄暗い悪夢の様な世界観も無視ができません。
例えばアメリカ製のおもちゃで「お腹の中に赤ちゃんが入っている(そして出し入れできる)犬のおもちゃ」他にも「鼻におもちゃが埋め込まれ、手がブラシになったぬいぐるみ」なんかがあります。
どう考えても結構怖い。でもにこにことしたお顔とカラフルなお色がとびきり可愛い!
ディズニーのトイストーリーなんかも、話す生きたお人形達の手が取れる!足がもげる!怖い。怖いけどそこがコメディ。そんな状況を受け入れさせる強引さが怖い、でも好き。
アメリカ独特の、湿り気のない明るさと暗さのコントラストが好き・・・。
ロバートゴーバーに話が戻りますが、彼の作品についての説明には良く「丁寧に作られた」と書かれています。
何か「意味を持った作品」には「丁寧な作業」(それがたとえクラッシュされた様な作品でも)が必要不可欠に感じます。
(わたし的に、「感性で作った」だけのものより、「感性があって、計画され、丁寧に作られたもの」が好きなので・・・)
突然の真面目なアーティスト紹介でした。
まだまだいっぱい語りたい作家がいます!
参考書籍
アート:"芸術"が終わった後の"アート"
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