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mslutraのブログ

イラストレーター、アーティストの自分の「画風」の見つかた

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イラストレーターとしてフリーになった私ですが、ずっとこんな悩みがありました。

「自分の画風が無い」事です。

今回はどうやって自分の「画風」を判断したかをお話します。

 

 

飛ばない目次

・「何でも描ける屋」には仕事を頼みづらい

・イラストにおいての“ファッションショー”

・苦では無いものを描く事のメリット

・「描けるもの」は少しずつ増やす

 

 

結論としましては、「画風」は見る人が客観的に「画風/タッチ」を感じる。という事なのですが、一筋縄な事では無いので順を追って説明致します。

 

「何でも描ける屋」には仕事を頼みづらい

学校卒業後、就活中から最近までの私の売り込み方は「何でも描けます!」でした。

これでも一応は美術系大学を卒業しているのと持ち前の器用貧乏っぷりで「見たら真似できる」を売りにしていました。

ですが意外と、イラストレーターを募集してる側って「何でも描ける人」って求めてなかったりするんですよね。

私も会社勤めの時、少し応募された書類を拝見した事があるのですが「何でも描ける」方って推すに推せない。

「過去に描いた絵、作ったグラフィック」が1番の判断材料なので「描いたことのないもの」についていくら力説されても「見えないものは判断できない」。

 

そりゃもう分厚い図鑑のように何百ページもあるポートフォリオがあれば「確かに何でも描けそうだ…」と思いますが、例えば学生さん(イラストレーターの営業でも)が日々の製作の合間を縫って描けるイラストの数って結構限られています。

私も就活や営業はずっと「何でも戦法」でしたが、蓋を開けてみればずっと好きな「動物や花のかわいいイラスト」が求められたお仕事が大半でした。

 

「イラストにおいての“ファッションショー”」

話はちょっと変わりますが、お洋服のファッションショーって沢山の種類のお洋服を着たモデルさんがランウェイを歩きますよね。

全体を通したテーマがあり、しかしどれも違うデザイン。

それら全てを見て「あ、今年のテーマは80年代のテレビコマーシャルなんだな」何て感じたりします。

例えばそれがたった1着のドレスだった場合。

「ピンクのドレス、綺麗だなー」ぐらいしか見る方に伝える事は出来ません。

イラストレーターやアーティストさんにとってもそれは同じです。

若い頃は不思議だったのですが、ずーーっと同じような絵を描く画家さんて沢山いますが(いっそ大半はそうかもしれない)同じものばっか描いて飽きたりしないのかな、と思っていました。

ですがそれは今思えば「実は違うもの」である事を自分が見分けられていなかったんです。

逆に言えば「描き続けても苦ではないもの」それこそが貴方の「強み」であり後の「画風」となってくる、と私は思います。

 

「苦では無いものを描く事のメリット」

先程のファッションショーの喩え戻りますが、大きなメゾンでも無い限り、全体に手刺繍の入ったような豪華なドレスばかりで何十体もお洋服を揃えるのは大変です。

しかし、ちょっと襟元に刺繍、こっちのワンピースは裾に刺繍、となれば少数規模のブランドや服飾学生にも何とかなりそう。

イラストでいえば「半年かけて描きました!」という大作を2枚だけ出すのと「動物の模様にフォーカスしたイラスト、こっちは動物の動き、こっちは…合計50枚の渾身のイラストです!」といった感じ。

イラストレーターを募集している側的には後者の方が判断しやすいです。

(公募展や、一度でも仕事をしたり登録したりしたものに大作の数枚を提出した方がいい場合もありますが/風景イラストとかは特にそうかも?)

 

イラストには不思議な面があって「サラッと描いたものの魅力」もあります。

「中心を目立たせるために周り(背景)を描かない」というのもある種の手法です。

苦では無いイラストを沢山描く事は「短時間で魅力的な仕事をする」「構図を考えた引き算イラスト」の勉強にもなります。

そして私の場合、そういったお仕事(もしくは小ぶりなイラストの組み合わせで大きいイラストに)を求められる事が多いです。

(「引き算」と思って手を抜いたイラストの量産はしないように)

 

「描けるもの」は少しずつ増やす

「画風」に話を戻しますと、要は沢山描けるものを自分が思うベストな状態で仕上げ続けると、それらがズラッと並んだ時に、見る人が客観的に「画風/タッチ」を感じる。という事になります。

 

しかし、やっぱり同じものばかりでは飽きてしまうし、同じ様な作家さん(ライバル)がいっぱいいる…別の要素を増やしたくもなる筈です。

そこで注意なのが「全く別の事はしない」という事です。

 

私がフリー駆け出しで色々なイラスト案件を探している時に「ゲームやアニメのイラスト仕事いっぱいある!」と思って、得意では無いアニメタッチのイラストを描いてみたことがあります。

これがもう全然上手く描けない…応募しても引っかからない。

余りにもいつもと違うタッチなので同じポートフォリオに纏めても意味がない(提出先が違いすぎる)

(そもそもアニメタッチのイラストって激戦区だったので入る余地無しだったのですが)

半端な新人イラストレーターがもう1人爆誕しただけで、もう何にもならなかった事があります。

 

これでは自分の武器を増やした事にはなりません。

 

描ける幅を増やしたい時、おすすめなのが今描けるものと絡ませる事です。

人物イラストでしたら人物に着物を着せてそれを極めたり、レトロな喫茶店を人物の背景に描いて極めたり、あとは同じ人物の頭身を変えて描く、なんてのも意外と汎用性があります。(例えばLINEスタンプにしやすかったりも)

ゆるふわかわいい系イラストでも例えば割と正確な形の楽器を描いてみたり…同ジャンルで他の人が苦手そうで、自分が愛を込めて出来そうな事があればやってみるべきだと思います。

 

「やりたいけど苦手」な物でも「苦手=自分のこだわりが強くて自分のイラストで満足出来ない」という事だった場合、上手く描ける様になる可能性があります。

こだわりが有り、他との違いが見分けられる、という事は「上達する手段を掴みかけている」時かもしれません。

 

私が画風を掴んだ時も「描き続ける」(満足がいくクオリティで沢山描く事)そして「イラスト募集の仕事に応募し続ける」で見えてきた(ここ数年の話)ところがあります。

 

若い頃からずっと人気のイラストレーターさんって無意識にこれが出来ていたりしますが、30代からフリーの知名度的には駆け出しイラストレーターの私には「認識される」事が最初の目標でしたので「画風/タッチ」への悩みが出てきた、という訳です。

 

誰かのきっかけになれれば幸いです。(傲慢)

 

またね