毎年派手な衣装を身に纏ったスター達を楽しめるMet Gala(メットガラ)!
今年のテーマは「camp(キャンプ)」!
山の中に泊まるキャンプではありません、「大げさな」「不自然さへの愛:策略と誇張」と訳されていますが、意味わからないですよね。
任せてください。キャンプは美術用語であり、私がめちゃくちゃ好きな概念なので説明させていただきます!
(実はツイッターのプロフィールにも使ってます)
camp!
まずMet Galaについてはこちらの記事が一番正確かと思いますので貼っておきます。
VOGUE JAPAN/メットガラの全て
https://www.vogue.co.jp/tag/event/metgala
BAZAAR/2019のメットガラについて知っておくべき全てのこと/今年のテーマは?
https://www.harpersbazaar.com/jp/fashion/fashion-news/a80441/fme-met-gala-2019-theme-20181012-lift1/
まず、キャンプを説明する前に、キッチュを理解しなくてはいけません。
「キッチュ」は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
ググると「芸術気取りのまがい物、俗悪なもの」と出てきてしまいますが、これでは語弊があります。
美術用語的には「大衆的なもの」や「派手で漫画的な魅力」「高級品」を模倣したもの。という感覚の方が近いです。
例えばプラスチック製の宝石の指輪、美術が好きな方ならば、キッチュの代表格がアメリカの現代アーティスト、ジェフ・クーンズ(マイケルジャクソンや、巨大なバルーンのプードルの彫刻、最近ではルイヴィトンとのコラボも)と言ったら伝わりやすいかもしれません。
このキッチュと近しいイメージが「キャンプ」になります。
キッチュが「高級品の安手な模倣」その安っぽい姿を隠そうとして本来よりも立派なふりをする。と捉えられます。
対してキャンプは「自らが行き過ぎていて滑稽であることを知っていながらそれを面白がる様な皮肉な視線を内在している」状態です。
ちょっと難しくなってきてしまいましたが、高等な教育や文化、技術、価値観を真似するのがキッチュ、ちょっと批判的で「逆に楽しもう」としてるのがキャンプです。
最近のキッチュは、このキャンプな意味合いで使われることも多いので、キャンプという言葉は消えかけていると思っておりました。(まさかのMET GALA )
そもそもこのキャンプを定義したスーザン・ソンターグの「キャンプについての覚書(1964)」によると、
「キャンプ」は社会や家族から抑圧を受けながら、時には自分の異質さをパフォーマンス化し、そうすることで現実を笑い飛ばして生きていく、ゲイの人たちの美学を、前衛の美学として作り直した際のキーワードです。
つまり「ドラァグクイーン」こそがキャンプの大元のイメージです。
「女性になる」のが目的ではなく「ドラァグクイーン」として自ら楽しんでいく、そんなポジティブでパフォーマンス愛のある模倣を楽しむ美学、それがキャンプです。
私の好きな画家の一人「カレン・キリムニク」というアーティストは「有名になる前のマドンナ」や全盛期の「レオナルドディカプリオ」を拙いとも感じられるタッチで描き、(そして彼女は貧乏で当時無名だった)そこにラメを塗りつけたりもするのですが、彼女もキャンプなアーティストの一人です。
伝統的で高尚な「絵画を描く技術」無くしても、「新たな審美眼で世界を見つめ」作品を作ることができる、新しい価値基準を意図せずとも表現しています。
カレン・キリムニック作品など まとめ
https://matome.naver.jp/odai/2135846587352642401
言葉で説明される印象より、とってもおしゃれで洗練され、どこか可愛らしい作品が沢山ありますのでぜひ見てみてください。
私は「ドガ」を連想させる軽やかさ、可憐さ、柔らかな光を感じます。
キャンプ、伝わりました・・・?
食べ物で表現すると
フランス料理:高尚な芸術
グミでできたお寿司:キッチュ
こだわって作ったすごい美味しいB級グルメ:キャンプ
という感じです。(逆にわかりにくい・・・)
ラーメン美味しい。
私の説明限界です・・・
参考書籍
アート:“芸術”が終わった後の“アート”
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