出鼻を挫く話をしますと、実はハンドメイドという言葉にどうも上手く寄り添えません。
私が好きなアクセサリー作家さんやぬいぐるみ作家さんは「クリエイター」であり「アーティスト」であり「デザイナー」であり「作家」であり「職人」だと思っているからです。
企画、デザイン、製作、販売、営業、(そしてwebデザインもしてたり)全てをほぼ1人で成し遂げる、メーカー会社まるまる1人、それの呼び名が「ハンドメイド」はちょっと柔らか過ぎる様な気がします。
しかしながら、
「ハンドメイドってクオリティが低いよねー」
なんて思っている方も多いのではないでしょうか?
まさかまさか、今そのハンドメイド作品達のクオリティが既製品のクオリティを超えたものばかりなので、「ハンドメイド」という言葉に余計違和感を感じるのかもしれません。
アクセサリーにしろ、お洋服にしろ、ぬいぐるみにしろ…。
(恵比寿のお洒落な古着屋さんで手作りのレベルじゃないハンドメイドアクセサリーを売っているのを私は見ました…)
それは多くのトップ作家さんが「元クリエイティブな仕事をしていて、独立したから(=キャッチーなのでハンドメイド作家と呼ばれている)」から。
全員とは言いません。
ですが私の知る限りで、人気雑貨店のデザイナーだったり、店員さん(人気なものを察知したり撮影したりノウハウがある)だったり、アパレルブランドのデザイナーが独立してたり、な方は少なくありません。
これはアマチュアという意味でのハンドメイド(手作り)ではなく、プロ作家としてのハンドメイド(手仕事)です。それってもうほぼオートクチュールなのでは?
「ファッション色の強いクリエイター」=「ハンドメイド」としか呼びようが無い(呼称が無い)せいかもしれません。
「アート色の強いクリエイター」=「アーティスト」と共有部分があったり、差別化されたり、一括りには出来ない部分も多いですが。
また、ストリート色の強いものだと、たとえアパレルでも「ハンドメイド」という言葉を使わなかったりもします。(カスタムとか??)実はとてもあやふやな言葉な気がします。
話は少し変わりますが、
雑貨でもアパレルでも、ファストファッション化や情報の早さ、原価の高騰などにより「より早く、安く」物を作り出さなくてはいけないのが今の日本のメーカーの状況です。
そういう状況に嫌気がさしたり、自分の納得のいくものが作りたかったり…そういう方が今ハンドメイド作家になっています。
女性なら特に「今より良いものが作れるメーカーに転職」も中々難しい現状があったり、元いたメーカー会社を寿退社してから、主婦ハンドメイド作家として活動を開始している方もいらっしゃるでしょう。
実際、昨今のメーカー会社から売り出される商品がハンドメイド作品そっくり、というのを良く見かけます。
「売り物みたいに作る」という状態はとっくに超えて、今はメーカーさんが「アイデアを真似る」状況です。
「早く、安く」作る為にはそういう事になってしまうのでしょう。
(作家は会社規模の大量生産による低コストに太刀打ち出来ないのでやめて頂きたいのが本心ですが…)
ハンドメイド作家…プロ中のプロだったのか…
ちょっと違和感を感じるハンドメイドという言葉、しかしながらとてもキャッチーなんです。
この言葉を突っぱねきれないのはその「間口の広さ」「言葉の包容力」
自称「アーティスト」は中々ハードルが高いですが「ハンドメイドしてるんだー」は言いやすいです。
バッグ職人のバッグがほつれていたら返品ものですが、ハンドメイドのバッグのほつれはご愛嬌(とも言い切れないのが昨今ですが)
テレビや雑誌で取り上げるなら「クリエイター」より「ハンドメイド」の方がお茶の間が受け入れやすそうです。(お茶の間って…)
そんな訳で、ハンドメイドという言葉はこれからも程よくゆるやかに使っていこうとは思っていますが「ハンドメイドだからって舐めちゃいけない!」という事を伝えたいお話でした。
余談ですが、、、!こちらの本のおまけのラッピングペーパーのイラスト担当しています!可愛くて楽しいよ!
またね