まず結論から申し上げますと、私自身、明確な結論や対策を思いついた訳ではございません。
ですがこれは早かれ遅かれデザイナーをしている者はみんな考えなくてはいけない問題なのでは無いかと感じ、私の今の考えを整理する為にも書き留めていこうと思います。
飛ばない目次
・デフォルメの問題点
・性格がデフォルメ化され、見た目に反映された女性像のイラスト
・喧嘩する女の子の可愛さ
まず、何について問題視しているかをお伝えします。
発端はこのロフトの広告です。
表現された女性像が陰湿に表現されすぎだと問題になりました。
ロフトのバレンタイン広告が物議で取り下げに。 「女は陰湿という考えが透けて見える」「なんの意図?」【UPDATE】
概ねこの批判に私は同意しております。
「女の子ってこうだよね」(ポジティブでもネガティブでも)
という主語の大きい表現は避けるべきだと考えているからです。
ですが、このイラストレーター竹井千佳さんのファンでして、とても複雑な気持ちでもあります。
何故なら竹井さんの描くイラストは、ある女の子の日常、ちょっと意地悪な事を考えてるかわいさ、ポップな色遣いがとっても可愛いイラストレーターさんだからです。
この広告は広告代理店やそのデザイナーの問題であり、竹井さんの問題ではないのですが、ファンとしてこのように取り上げられてしまいちょっと悲しい。
またちょっとふくよかに描かれる女の子はむしろ「痩せている=美しい」という従来のモデルイメージから離れて表現されているのもかわいい。
イラストレーター界で女の子、もしくは男の子を表現する際に「リボンをつける」「まつげを生やす」などの表現をする事があります。
何かを強調してわかりやすくする、デフォルメのひとつです。
それがもっと顕著に現れる雑誌のコラムの挿絵なんかには「陰口を叩く女性」や「SNSでマウントをとる女性」などもう少し尖った陰湿さの女性が表現されていたりします。
この「女性誌の中の女性あるある」は女性目線からの「こうはなりたく無い」とか「こんな人がいると息苦しい」といったマイナスイメージを持って表現されているかと思います。
ですがSNSが発達した昨今、様々な性別、
年代、立場の人がその情報を共有する事ができるようになり、たちまち「女性あるあるネタ」は「こういう人いる」から「女性ってこういう感じだよね」という広い意味での解釈の方が自然になりました。
これは結構、雑誌などに人物のイラストをコミカルに描くイラストレーターさん的には死活問題なのではないかと思います。
最近では小学生男子御用達雑誌「コロコロコミック」の表現が問題になったりもしました。
「小学生男子だけが読む」と思って安易な面白さ優先で倫理観が欠けた表現をするのは好まれない時代です。
私は歳の近い弟がいるのでコロコロコミックをすごく読んでいたので、避けられる事態で問題になっているのは悲しい…。
「日本では許容される表現」でも「欧米から見たら到底許されない表現」というものもあります。
「ここは日本だろ」ってお声が聞こえてきそうですが、もうそれは通用しないとこまで来ていると感じます。
先程お話ししたロフトのバレンタインの広告ですが、あの「女の子同士が裏側で引っ張り合っている」という表現のまま「問題視されない」方法を実は考えました。
それは「パワーパフガールズを起用する」事です。
ちょっと何言ってるか分からないかもしれませんが、要はパワーパフガールズが表から見ると仲良さそうにしてるけど、裏面では攻撃しあってる、という広告にするという意味です。
パワパフのアニメが好きな方はお分かりかと思いますが、彼女たちは日々喧嘩ばっかりしている仲良し姉妹です。
その為、「裏で攻撃しあっていても」いつものパワパフだなって思う訳です。
表側には博士(生みの親で父親である科学者)がいるのかなー、みたいな情景が浮かびます。
元々「喧嘩する」設定のキャラクターなので、批判はされない…のでは無いか(なんでも攻撃する感じだったら分からないですが)
この表は仲良し裏は喧嘩、という構図、とても可愛いとは思うんですよ。
またキャットファイト的な女の子の表現って可愛いく感じるので、なんとか生かしたい。
(喧嘩してる男の子も可愛いと思う/流血沙汰過ぎなければ)
「良い子ばかりじゃ無い」っていう「個性にポジティブな表現」にうまくできないものか…。
「媚をうる」と「仲悪い」の組み合わせが悪かったのか?
「尖った感じ」と「仲悪い」だったら良かったのか?…そうとも言い切れない気がする。
例えば「表から見たら天敵っぽい」けど、裏側では「バレンタインのチョコ受け渡しを応援してる」みたいな感じにできたら良かったのでは!?(映画のジャイアン優しい的な)
アツい…。
昨今、イラストストック系(「いらすと屋」の様な、先に沢山のイラストを用意し、後から買い手が選んで購入するスタイルやサービス)でも以下の様な現象が起きているそうです。
それは明らかに性差を無意識に差別的に書いたイラストを買い手が避けたり、色変更などが求められたりする。
例えば「病院の待合室」のイラストで、明らかに女性がピンク色の服、男性が水色のシャツ、という表現されたイラストは避けられる様になってきた、とのこと。
この時代の流れは、キャラクターデザイン、おしゃれイラスト、色々な方面の表現にとても影響が出てくるのではないでしょうか?
最初に言った通り、解決策はバッチリこれだ!と言い切れないのですが、考え続けていこうと思います。
今回のLUTRA LUTRA LUTRAはこれでおしまい。
またね
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