「文化の盗用」についての記事を、私はもうずっと、下書きを書いては消し、消しては書いてを繰り返していました。恐らく1年くらい前からずっと、この問題に対して繰り返し考え、昨日の自分に反論し、ずっと掴めずにいたこの感覚を、やっと人にお話しできる地点をやっと少し見つけたので、ここに書かせていただきます。
文化の盗用の分かりやすい記事
https://globe.asahi.com/article/11573516
下着のブランド名をkimonoにする事へ反対が起きた事。
ボストン美術館が着物を着るイベントを中止にした事。
プロムパーティでチャイナドレスを着たアメリカ人が叩かれた事。
そして、
ハイブランドなどが白人モデルに黒人文化(ブラックカルチャー)の髪型「コーンロウ」をさせた事。
今まで私は一連の問題に対して、概ね「考えすぎじゃない?」と思っていました。
(kimonoについては尤もだ、と思ったけど、中国系アメリカ人を叩く手段にしてた人達がいたのが辛かった。)
例えば日本で平成に流行ったガン黒ギャルも、元は黒人ラッパーなどへの憧れから始まったものだし、外国人が着物を着るのは(例えそれが殿様カツラに手裏剣を持っていても)なんとも微笑ましく好ましく感じていたからです。
日本の肉じゃがも、イギリスのカレーを日本人が真似て失敗してできたものだとか、
グランドピアノが黒いのも、日本の漆塗りを真似した結果だとか・・・
ともかく「平和な世界において」文化が混じったり、交換しあったりすることは平和の象徴なのではないか。と考えておりました。
しかし、先日大きなうねりとなったアメリカを中心とした黒人人権デモ。
そして様々な方から知らされるショッキングな情報により「平和な世界」だと思っていたのは私が「日本に住んでいる多数派の日本人(黄色人種)」だったからだと痛感しました。
文化の盗用について調べていると度々
「支配階級が被支配階級の文化を真似る行為」を批判される、と表現してあります。
つまり「日本人がマリーアントワネットのドレスを着る」のはいいけど「アメリカ白人が中国のチャイナドレスを着る」のはいけない。
以前の私は「そのアメリカ人が多文化に詳しくリスペクト心があれば良い」と思っておりましたが、ことはそんな生易しいものではないと最近考えます。
例えば、あるブランドが「黒人文化のコーンロウの髪型を白人モデルにさせた」とします。(そしてこれはよくある例です)
そこで文化の盗用だと批判されたとき、デザイナーが「黒人文化をリスペクトしている」と言葉にしたとします。しかしそれではこの批判からは免れません。
何故ならこう言い返されるはずだからです。
『そのブランドは黒人を全体の何%雇用しているのか』
『そのブランドの重役に、黒人はいるのか』
『黒人人権問題に対して何か行動を起こしているのか』
『何故デザイナーに黒人がいないのか』
それらに答えられない限り、「コーンロウ」を使用することはできないでしょう。
これが「リスペクトしていない」の真の意味です。「めっちゃ好き」とかではもう通用しない。
実際あるブランドが「何年か前のショーでも同じ表現をしている、その時は批判されず、むしろ多用的と評価された」という事例があります。
この文化の盗用は近年どんどん大きく、広く認識され、強く批判されている問題です。
つまり、黒人の方々が「コーンロウ」だけでなく「ブラックカルチャー」の使用をそれ以外の文化圏から取り上げている。というのが実態ではないでしょうか。
「私たちは怒っている!全て解決するまで使わせない!」
「問題に目を瞑って、文化の欲しいとこだけ使うのは許せない!」
という事ではないでしょうか。
「白人が着物を着る」とかとはもう全然別物の問題がそこにあります。
文化の盗用はアジア文化、北欧文化、色々な民族の文化、様々な問題に当てはめられますが、本当は「黒人文化」についてが一番強く論じられるべき問題だったのではないでしょうか。
ちょうど“All Lives Matter”「全ての命は大切」と“Black Lives Matter”黒人の命も大切」の関係・違いと同じ様な感覚です。
この『違い』についてはビリーアイリッシュちゃんがすごくわかりやすく話しています。
つまり「黒人の文化が大切」について考えるための「文化の盗用」問題の提起だったのではないかと私は思います。
この #BlackLivesMatter は一過性のムーブメントにしてはいけないものです。
でも日本で暮らしているとそれが一番難しい。
会社の偉い人なら雇用について考えたり、広告について変更したりできるけど、私はどうすれば・・・と思い、単純な私はこの運動へ募金を少ししました。
こちらのサイトです。
こちら海外のサイトですし、募金を強要するつもりは全くありません。
私が良かったと思っている点は、毎日このサイトから活動について、デモの現状についてなどメールが届くところです。
毎日届くので、「日本フィルター」にかからない情報を得られたり、毎日考えたりできます。
きっとしがない日本人でも、一人のイラストレーターでも、何かできる、何をしてはいけない、何をすべきか、ずっと考え続けていれば何か見えてくると私は信じています。
とりあえず私の心の現状報告でした。