「謎のウィルスの蔓延を阻止する」小説「インフェルノ」の感想。(ちょっとネタバレあり)
先日、結構時間を掛けて小説「インフェルノ」(ダンブラウン著)をやっと完読しました。
「ダヴィンチコード」の作家として有名なダンブラウンですが、このインフェルノもダヴィンチコードシリーズのひとつです。(主人公が同じ大学教授のラングドンと言う人/映画の役者はトムハンクス)
私はこの作家さんが大好きで、ダヴィンチコード以降はほぼほぼ読んでますが、私の読むスピードより新作がでるスピードの方が早く、三年前の新作「オリジン」が読めてないと言う状況です、大丈夫かな私。
(ちなみに1番好きでおすすめもしたいのが「天使と悪魔」です)
シリーズを簡単に説明するとフリーメイソンという秘密結社関連の殺人事件があり、それを解決する為に何故か毎回出てくる美しくて天才肌の理系の女性と、主人公の大学教授(美術史に強い宗教象徴学者)の男性が謎解きしながら犯人を追いかけたり追いかけられたりするストーリーです。
大筋は大体全部同じ感じです。後半に意外な黒幕が出てくるのも一緒。
今回読んだインフェルノはフリーメイソンより「トランスヒューマニズム」が主題。
トランスヒューマニズム(人間を科学技術により人工的に進化させようとする思想)の危険性と何が問題かを分かりやすく説明してくれる本でもあります。
(最近都知事選にも居ましたね)
(オタク向けにいうとガンダムSEEDのコーディネーターの事です)
そして恐ろしいウィルス生物兵器が出てきます!
発症症状が謎だけど、とりあえず全世界の人口を1/3にしたいマッドサイエンティストが黒死病をモチーフに作り上げた謎のウィルス「インフェルノ」。
このウィルスが拡散される前に阻止したい!というストーリー……
昨今の私達がざわざわしますね。
(昨今では余り感じられなかった…)WHO(世界保健機構)の大活躍も楽しめます。
新型コロナウィルス蔓延を予言した本とかも言われていますが、そんな感じでは全然ないです。フリーメイソンや陰謀論を半端なググっただけの知識で「知らないとやばい」と煽って動画にして再生数稼ごうとする人はちょっと嫌です。
今作はちょっと、作中に出てくる実在の美術品解説がくどくて(そこが良さでもあるのですが)微妙に緊張感や読後のボリューム感が乏しかったのがちょっとアレなのですが、1番良かったのは悪役のかっこよさです!
ダンブラウン作品は悪役の良さに定評が(私の中で)あるのですが、今回も例に漏れず。
まず悪役のマッドサイエンティストは自作のウィルス拡散を待たずして自害しているのですが、そのせいでウィルス拡散装置を探すのに大変苦労をする事になります。
(まさに死せる孔明、生ける仲達を走らす状態)
しかもその準備は念入りで、ダンテの『神曲』による交響曲 「Inferno」のクラシックコンサート中にアレするようにアレしたり、悪役で極悪非道ながら独特の美学センスがあります。
世界征服を真面目に計画して遂行しようとする悪役が好きです。
中途半端な世界征服論を持った悪役は、ヒーローに倒される為だけに生み出されたとしか思えないからです。
この悪役が良すぎるが故の読後の虚無感は最高でした。
ちょっと興奮してこんな文章になってしまいましたが、気になった方は是非読んでみて下さい。
でも映画もあるから映画で十分かも。(私はまだ見てません/でもいつもちょっと内容薄まる)