若い女性の流行が出始めた頃は(メディアや大手百貨店などに)目も向けられず、ちょっと流行りだしたら叩かれたり弄られたりし、そして勝手に「まだそれ好きなの?」みたいな空気が出来上がる。
例えばマカロン、タピオカ、インスタグラム、
だけどそんな扱いを受けてた流行が、この自粛期間という"勉強時間"を経て今反撃を始めた様に思う。
その流行の中心は「韓国」だと思う。
「韓国と聞いてどんな印象を持ちますか?」
この質問への回答は、大きく二分するのではないかと思います。
おそらく韓国に好きなものがある人、無い人で2通りのイメージがある様に思います。
単に男性女性で分類したり、2通りしか意見がない様に話をするのは好きではないのですが、SNSや街中での印象でそう思えたので、一旦その定で話を進めます。
新型ウィルスが流行する少し前、私が短期でバイトをしていた会社でのこと。
私が最近韓国が好きで、今度旅行に行くと言ったら、上司にこう言われました。
「アイドルの追っかけ?イケメン見に行くの?」
ここで韓国好きの女性的にはこの質問がいかに的外れで腹立たしいかわかるけど、韓国のコスメや、女性アイドルや、韓国カフェや料理に興味のない男性には韓国好きな女=BTSのファン。としかイメージが無い。
私もBTSが好きだけれど、単に"イケメン"という枠にしか当てはまらないと思われているなら心外だし、私個人の話だけどメンバーの名前も見分けもあやふやだけど、単に楽曲が好き、プロモーションが好き、という人も少なくないと思う。
(日本でいうと、なんとなく「嵐の楽曲は耳障りが良いよね」的なライト層も居る、という事)
私はこうした漠然と韓国へ好意的に感じる世代や人々をKpopに敬意を示して「韓国ファンダム」と呼びますね。(ファンダムとはファンの集団のこと。また、好きな物の"布教"に積極的でもあるポジティブなファン集団)
この韓国ファンダムは自粛期間とオンライン文化の成熟により今爆発的に広がり止まる事はこの先しばらく無いでしょう。
そんな事に全く気付かない、もしくは気付かないフリをしている人にとってそれは脅威であり、逆襲のようにも感じるかも知れません。
最近になって「韓国家具」「韓国雑貨」「韓国アパレル」を扱うお店がオンラインでも実店舗でも急激に急増しているにも関わらず、(しかも多くはとても若い世代が経営している)それを専門に扱った雑誌や書籍、大手デパートなどの取り扱いは全くほとんど無いな、と感じている方もいるのでは無いでしょうか?
情報収拾の主流がオンラインに変わり、オフラインの媒体が全く流行についていけていないように思うのです。
そうしている内に「何故か服が売れない」「何故かものが売れない」「雑誌が売れない」と●●離れを全部"若者”のせいにしていたら、一部の人にしかものが売れなくなっていく事に気づく事は出来ないでしょう。
また、過去に3ceという人気韓国コスメブランドを最初に大きく扱った百貨店が、コロナ渦の改装によりその取り扱いをやめてしまいました。(実はマーガレットフィンガーという韓国アパレルも当時取り扱っていた)
色々な経営戦略はあるのだろうけど、韓国コスメにも高級なラインや、ビーガン系を中心にナチュラル素材のラインも沢山あるのに、一つも百貨店は取り扱わなかった。
こんなに韓国コスメが主流になったご時世でも。
当時私は「韓国系のコスメは取り扱わないんだな・・・」と落胆したが、これについて韓国コスメが好きなコスメオタク達は大して声を上げなかった。
私はこれには様々な理由があると思うのだけれど、「大きな声を上げたくない」というのが日本の韓国ファンダムの特徴の様に思います。
理由は明白。
ネットで叩かれるからです。
皆様ご存知の通り、日本への愛国心が暴走した方々から見て、韓国が好きな若い女性なんて叩くのに格好の的になってしまいます。悲しすぎるけどこれは事実です。
そしてその韓国ファンダムの特徴の一つ、「批判されても声を荒げない」というのが、良くも悪くも密かに勢力を広めている一つの要因になっています。
また、話は変わってしまうけど、現代美術のアーティスト村上隆が彼のインスタグラムで「鬼滅の刃が好き。欧米とは違う日本独特の価値観がある」と言っていたことの意味をずっと考えていたのですが、この日本独特、はもう少し広くアジア独特、なのではないかとも最近考えています。
そう思ったきっかけは音楽です。
私は海外の音楽も大好きで、かっこいいなと思うアメリカの女性アーティストの歌の内容は多くが
・沢山の男性を弄ぶ事の肯定
・高価なお買い物を楽しむ
・社会へのリベンジ
・奔放に好きな事を楽しむ
この辺りが大きなテーマのように思います。
いけてる女性が男性を沢山引っ掛けるのは見ていてかっこいいな、と思う反面、全然共感も憧れもしないな。と言うのが正直な私の長年の感想でもありました。
(とてもカッコよくて好きには変わらない。共感のみにおいての話です)
で、鬼滅の話に戻りますが、ディズニーなどの作品と比べて、社会への進出や、かと言って自然への回帰や、女性が対男性を軸にした展開が無いな、というのが。
というのも韓国で人気のV logger(YouTubeで日記のように日常をUPする人の事)のplan Dちゃんの動画にも「モテ」とか「ダイエット」みたいなうっすらとした対男性を軸にした展開が無い、社会での承認を求めているわけでは無い、かと言ってロハスなわけでも無い、という共通点があります。(因みに彼氏はいるっぽい)
彼女は自宅での個人向けドレス製作を主なお仕事にしていて、その「自立」「職人気質」な点と、毎日部屋の中に籠っているのに(もちろん某ウイルスの影響もあり)凝った料理を作ったり、広くは無いけどおしゃれな小物に囲まれた部屋で、可愛いパジャマを着ていたりの「リアルな憧れ」対象になっています。
数年前の女性の憧れの料理と言ったら、その辺のスーパーに売っていないようなおしゃれな野菜のスムージーとか、アサイーボウルとか、要はおしゃれで健康でダイエットでマウントを取れるようなものが中心でした。
それが近年ではクリームたっぷりのダルゴナコーヒーとか、具がいっぱいのキンパとか、チーズコーンとか、そんなに油いっぱいのとても美味しそうな料理を!女の子が大量に食べる!がすっかり主流になったように思います。
これは完全にアジア圏からの風潮のように思います。
男性と遊び散らかさなくてもかっこいい女性で居られる。と言う象徴のように思います。
こんなに熱く語ってしまいましたが・・・
今年最も勉強になった本「KーPOPはなぜ世界を熱くするのか」は必読なので、次の1冊を探している方は是非読んでみてください。
アイドルの話だけなのでは?と思うかも知れませんが、韓国の国民性や生活。グラフィックや衣装、各種コンテンツのデザインの日常や、世界への営業戦略など、この先のオンライン世界へのヒントや日常風景に触れられるようでとても面白い一冊です。
はてなインターネット文学賞「わたしとインターネット」