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mslutraのブログ

(G)I-DLEのQueencardのMVの元ネタ映画White Chicksを見たんだけどね!

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私は30代になってからK-POPにはまっていて、一端のクリエイティブ職として映画鑑賞とかの勉強の一つだとも思っています。(もちろん普通に好きなので勉強するぞ!って感じではないです)

ともかくいろんなグループを満遍なく聴いていて、好きなグループも沢山あるのですが、絶対!絶対!!新曲はチェックしないといけないと言うグループがいくつかあります。

その一つが(G)I-DLE。
(G)I-DLEを私から説明するのは荷が重い、、ですが、人の言葉を借りて言うと「作曲から振り付けまでを自分たちで行うセルフプロデュースグループである」です。

そして今回、(G)I-DLE。の新曲QueencardのMVの元ネタの一つと言われている映画「White Chicks」を見たのですが、あまりにも面白かったので突如紹介文を書きます。

 「White Chicks」あらすじ

誘拐の脅迫をかけられた白人のセレブ姉妹を守るため、身代わりに女装して潜入捜査を始めた黒人のダメ刑事コンビが大騒動を繰り広げていくさまを描いた痛快コメディ。
2004年制作

 

画像の手に持っているFBIの手帳の顔が本人、女装ドタバタコメディ。

まず、念押ししたいのが、この映画が大変不名誉な扱いを受けてきたという事です。

 

映画評論家リチャード・ロイパーが2004年の最低映画第1位に挙げたことも含めて批判的な批評が多く、第25回ゴールデンラズベリー賞では作品賞を含む5部門でノミネートを受けた。
しかしその一方で商業的には大きな成果を上げており、アメリカ国内だけで7083万1760ドル、海外を含めると合計1億1308万6475ドルにのぼる興行収入を得ている。 
wiki参照

 

かの悪名高き「ゴールデンラズベリー賞ラジー賞)」という、その年に最低だった映画に贈られる不名誉な賞がアメリカにはあり、堂々と受賞(確か3位くらい)しています。
しかも更に最悪なことに邦題(外国の映画につけた日本独自のタイトル)が「最凶女装計画
最悪すぎる、、何もこの映画の本質を捉えてないタイトル。
レビューを見ても「頭空っぽにして見れるおバカ映画!」と言う評価ばかり。
よくよく調べるとかの「映画評論家」はごりごりの白人男性で、この映画は黒人監督。嫌な予感がしてきました。

まあ外野紹介はこのくらいにして。
私が評価する記事を書きますので!

 

なぜかこの映画、なんと「ガールズムービー」だったのです。

まずこの映画のキモがただの「女装」ではなく「黒人男性が白人女性のフリをする」事にあります。
日本でよくある女装ものって、自分についた偽の胸に興奮したり女湯覗いたりのイメージがなんか強いですが、そういう系の不快な表現は一切ありません。

肌を白くしてブロンドのウィッグを付けただけの下手な女装なのに周りの人達は全く気づかない、親友たちさえも。と言うのはコメディ的な要素ではあるのですが、そこが逆に「肌が白くてブロンドなら誰でも良い」という社会へのカウンターになっています。

スカートを履いて外に出た途端、FBI兄弟は「良い女。食いたいぜ」とか見知らぬ男性達に声をかけられます。そんな言葉に「侮辱された」と感じた女装兄弟はその男性達にブチギレるわけです。
この感覚を男性監督が表現してくれたの本当に感動だし、爽快感があります。

お洋服を買いにショッピングする女の子友達が、全然痩せているのに試着するたびに「私は太ってる!醜い!」って叫び出して女装兄弟が戸惑うシーンとか、辛いやら共感やら。

女の子友達同士で本当にくだらない下品な会話いっぱいするし、整形するし、サラダばかり食べると思われてるけどステーキもりもり食べるし、大声で歌いながらドライブするし猛々しいダンスバトルもする。
女装とその親友達のチグハグなグループが逆に、かっこつけてない、見せる為じゃない本当の女の子の姿だったりするわけです。

女装の中身のFBI男性が自分のタイプの黒人女性を思わず女装したまんま口説きにいっちゃっても、同性な事を茶化すシーンもないです。

また、兄弟は普段よく自分たちがかけられている黒人を"軽く侮辱する”言葉を、白人の女装した状態で真似して言ったりします。「(肌が)チョコみたいで美味しそう!」とか。
そして親友(本当は元の白人姉妹の親友)達の前で「ニガー」といった途端、「そんな言葉だめだよ」って言われます。
白人の女の子に初めてそういって貰えて、兄弟は内心びっくりしたりする。そこで密かに心が通じてたりする。あの悲しそうな笑顔に心が締め付けられる。

最終的に白人大好きなお金持ちの黒人男性に女装がバレた途端「なんで黒人がいるんだ!出ていけ!」と激昂される(男だったことではなく、黒人だったことを責められる)シーンがすごく印象的で、監督なんかあったでしょ、って思いました。

 

白人のお金持ちの女の子が、自分自身とデート権利をオークションにかけるシーンでも「女をオークションにかけるなんて(酷い)」と言うのは女装した兄弟だったりします。
そんな中、ライバルの白人のFBIコンビは「○○と××だったらどっちと寝る?」って話ばっかりしてる訳です。

そしてブロンド女性ってだけで誘拐されそうになるし、ひったくりに合うし、飲み物に薬入れられるし、水掛けられるし、オークションにデート権かけられるし散々な治安。女性ってだけでかけられる様々な犯罪に、屈強なFBI男性なのでどれも撃退していくのも痛快です。
(この点ではAmazonプライム限定ドラマのPOWERに近いっちゃ近い)

 

で結局は女性として過ごしたことで、喧嘩中の妻がいつも頑張ってた事に気付くみたいな良い話にしたりするのも結構好き。
結局、偽親友とも本物の親友になれます。

2004年じゃなくって、今年公開の映画だったら、絶対絶対良い賞を何か獲ってたと思うのですが。近年の映画賞は社会をどの角度で見たかとか、物語の目線とかを評価してくれるから。
きっと「ありのままの女性」の表現が某評論家には「下品」としか映らなかったんでしょう。そういうところやぞ?

そしてこの最高ムービーを再発掘してくれた(G)I-DLEのセンスが大好きだな、と改めて思った訳です。

(G)I-DLEのMVにはきっと「外見(着るものや整形や気分で)で状況はどうにでもできるし、それによって内面の評価は(いい意味で)変わらない」って事でオマージュしたのなって思います。

 

Netflixとかで観れるので見れる環境があってたまらなく暇だったら、ぜひ見てみてください。